2025年01月26日

名フィル「名曲シリーズ」:矢代秋雄ピアノ協奏曲ほか

 名古屋フィルの「第94回市民会館名曲シリーズ」に行ってきました。お目当ては、矢代秋雄のピアノ協奏曲です。指揮はロベルト・フォレス・ベセスさん、ソリストは田所光之マルセルさんです。田所さんは少し前からあちこちで紹介を見ていたので、一度聞いてみたいと思っていました。

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 1曲目は「牧神の午後への前奏曲」。冒頭のフルートのソロは気だるくしなやかで良かったんですが、他の楽器が入ってくると、なんだか「固い」感じがしました。9/8とか6/8の拍節感がはっきり聞こえてしまう。この曲ってこんなんだっけ?と思っているうちに終わってしまいました。イマイチ乗り切れなかった。

 2曲目が矢代秋雄のピアノ協奏曲です。田所さんのソロは、柔らかい音と堅い音をはっきり使い分けています。自分の座席がピアノソロを堪能するには良くなかったのですが(前列の左の方)、音の表情の豊かさは伝わってきました。曲の解釈はちょっと違和感がありました。この曲はフェルマータの後に「間」がある場面が多いのですが、ベセスさんは間を取るのがお好きでないのか、かぶせるように次のフレーズを始める傾向があります。第2楽章から第3楽章をアタッカでつないだのにはびっくりしました。解釈としてはアリなんでしょうけど、私は好きじゃなかったです。

 ここで休憩。開演前もそうだったのですが、木管の一部のメンバーはステージ上でウォーミングアップをされるようです。Esクラの人(名フィル・浅井崇子さん)がステージに出てきて、ダフクロ「全員の踊り」のソロをめっちゃ熱心に練習されてます。いろんなアーティキュレーションで、まるで練習曲みたいに。なんか、このソロ吹けるのが楽しみ!という感じがすごく伝わってきて、こちらも楽しくなってきたのですが、本番前にあんなに練習してバテないんでしょうか。

 後半の1曲目「古風なメヌエット」。これはハマってました。案外ごちゃごちゃしたフレーズがきっちり3/4に収まってます。バスクラがよく聞こえるのも嬉しいポイントです(客演・藤井香織さん)。

 2・3曲目「夜想曲より雲・祭」。「雲」はよかったですね。これもテンポの揺れは控えめでしたが、音色の移り変わりがきれいでした。「祭り」はおとなしい感じでした。もうちょっと派手な演奏が好みなんですが……あっ、座席の場所のせいで金管があまり聞こえてなかった可能性はあるかもしれないな。

 最後は「ダフニスとクロエ」第2組曲。これは名演でした。どういう音楽を作りたいのか、意思統一がはっきり感じられました。「間」があんまりないな、というのはこの曲でも感じましたが、あまり気にはなりませんでした。Esクラはブラボーです。曲が終わった後、フルートソロは立たせてもらってましたが、Esクラも立たせてあげてよ、と思いました。まあ、ソロとしては短すぎるかな。フルートや並クラと掛け合うところも多いし。なお、最後に全パートを順番に立たせる時、チェレスタと鍵盤グロッケン(ジュ・ドゥ・タンブル)の人が「えっわたしも?」みたいな顔をされてましたけど、チェレスタかっこよかったですよ。音響はよくない席でしたが、こういう表情がはっきり見えるのは楽しかったです。

 終演は20:50ぐらいでした。思ったより早くて助かりましたが、これでも自宅に着くのは22時過ぎになっちゃうんだよなあ。平日の仕事帰りに行くコンサートだから、仕方がないですね。

タグ:音楽
Posted at 2025年01月26日 00:58:51
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