2023年02月01日

人工石油プロジェクト???

 お茶吹きそうになる案件が流れてきました。大阪市なにしとんねん。

水と大気中のCO2等から生成する人工石油(合成燃料)を活用した実証実験を支援します

同社(引用者注:サステイナブルエネルギー株式会社)は、本市が実証フィールドとして提供する花博記念公園鶴見緑地において、水と大気中のCO2等から生成する人工石油(以下「合成燃料」という。)による発電システムの構築に向けた実証実験を実施します。

大阪市 - 地球温暖化対策 - 588970

 小波秀雄先生がこんなリアクションをされています。「大馬鹿」とはまたストレートな。

 小波先生のツイッター上で多くの指摘がある通り、この件はもともと大阪大・京都大・立命館大で教授を務められた今中忠行先生のグループが 2015年に日本化学会の論文誌 Chemistry Letters に論文を発表して、1年後に撤回したといういわく付きの案件です。しかし、その後別の論文誌に同じような論文を出してたんですねえ。知らんかった。こりゃ確信犯だな。

 こういう「自称・夢の技術」にロマンを求めたい人に知っていただきたいのですが、「人工光合成」を真面目に研究している人は日本にたくさんいます。非常に難しい研究なのでなかなか実用化に結びついていませんが、それでも地道にやっているのです。こんなインチキくさい案件に踊らされないで、真面目に研究している大学や企業を見つけて、細く長く応援してほしいと思います。

タグ:科学 社会
Posted at 2023年02月01日 20:51:30

2023年01月08日

「タネが危ない」(野口勲著、日本経済新聞出版社)

 2011年出版の本なので、今さらではあるんだけど、面白く読みました。

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 タネの話のはずなのに、いきなり著者が手塚治虫の担当編集者になって「火の鳥」の原稿を受け取った話から始まる。なんじゃこれ、シニアにありがちな自分語りの本なんか??と一瞬思ってしまう。そういう面がないとは言えないが、それだけで済む話ではない。著者の手塚治虫愛は確かにちょっと過剰ではあるけれども、「生き物が命をつないでいく営み」という点で、「タネ屋」の仕事につながっていく。

 著者は、F1(一代雑種)のタネがあまりに流通しているために、固定種のタネが消失するのではないかと危惧している。食料を効率よく生産し、産業化するための F1 品種の利点は認めつつも、固定種の生命力を維持することは必要だ、と主張する。

 固定種は、タネを採取して、播いて育てる、というサイクルを繰り返すことによって、栽培地に次第に馴染んでいく、と言われている。本書にも、その実例が紹介されている(98ページ「『桃太郎』よりおいしい固定種のトマト」)。世代交代を繰り返すことで、栽培地に適した形質が現れる、というのは確かにあっても良さそうな話だが、それがわずか3〜5年で起きるというのは驚きである。生命の進化を実験的に再現しているとも言える。

 「第5章 ミツバチはなぜ消えたのか」は、最初に「ここからは僕の仮説、まったくの仮説だ」と断り、さらに「あとがき」にも「(信じているのは)75%」と書かれている通り、かなりの勇み足である。文脈から切り取られて一人歩きすると危ないなあ、と感じた。試しに「F1野菜 危険」というキーワードでネット検索をしてみたところ、やはり「F1野菜を食べると……(以下略)」という危なっかしい記事タイトルや YouTube 動画がいくつか見つかった。中身をざっと見てみた印象では、ガチの農業生産者や菜園をやっている人はあまり変なことは言ってないが、育児・オーガニック・アンチエイジング方面などの人はおかしな結論に走っていることが多かった。仮説を発表することにも意義はあると思うんだけど、「まだ立証されていない仮説」と「すでに立証された事実」の区別がつかない人に届いてしまうと、なかなか面倒なことになる。

 「付録」に書かれた次の一節は印象に残ります。うちの父は、一部の野菜(ルッコラなど)についてこれを実践しています。私もあとに続きたい。

自給用野菜、家庭菜園の世界は、別の視点、別の価値観を持っていただきたいと思う。毎日野菜の顔を眺め、声をかけ、収穫し、できればそのタネを採り、またそのタネを播く。すると野菜が友だちになり、家族の一員になる。

(本書174ページ)

 もっとも、次の一節はちょっと行きすぎかな。気持ちはわかるんですが。

そのタネは、あなたが亡くなった後も、家族の手によって採り継がれ、子孫の体の一部になるかもしれない。もしそうなったら、そのときあなたは永遠の一部になるだろう。

(同上)

 いやいや、家族はそんなことを押し付けられたら迷惑でしょうよ……別に永遠の一部にならんでもいいし。まあ、せめて植物の永遠のサイクルの一部だけでも体験できたら楽しいですよね。

タグ:読書
Posted at 2023年01月08日 23:59:17

2023年01月03日

OfficeJet Pro 8020 を買った

 昨日の続きです。旅立ったプリンタの後継機として HP OfficeJet Pro 8020 を買いました。Amazon のマーケットプレイスで、PLUS YU の取り扱いです。PLUS YU 懐かしいな。昔 Mac の周辺機器を何度か買ったことがある。

 大きさは先代の OfficeJet Pro 6830 と比べて、わずかに横幅・奥行が大きいかな。本体が白いので、圧迫感が少ない。

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 HP のプリンタのセットアップは慣れているので、いつものように進めようとしたのだが、なんか勝手が違う。「HP Smart」なるものを使え、という指示が出てくる。

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 この「HP Smart」が全然スマートじゃない。だいたい、こういう「プリンタメーカーが提供している統合型アプリ」は出来が悪いものと決まっている。とにかく反応が恐ろしく鈍い。どうやったらこんなオンボロアプリが作れるんだ? 「HP Smart について」を開いてみると、どうやら Microsoft C# で書かれているらしい。C# で Mac アプリって作れるんだっけ?

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 こんなボロアプリに付き合ってられないので、Apple AirPrint でドライバをセットアップしました。一応プリンタ・スキャナ・ファクスが使えるようです。ファクスは使わんので外した。

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 一つ残念なのが、本体のタッチパネルで「スキャンしてコンピュータに保存」というのができないことです。前の機種はできたのに! 昔のドライバを捨てて、HP Smart なるボロアプリに置き換えたせいですね。

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 しかも腹立たしいのは、本体のタッチパネルで「コンピュータがリストにない」を選ぶと、まるで「HP smart を使えば Mac へのスキャンができる」みたいな書き方をしてあることです。できる方法があるんじゃないか、と2時間ぐらい探し回った挙句、結局上のページを見つけて「できない」という結論に達しました。

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 HP は DeskWriter の頃から Mac にコミットしていて有り難かったのですが、Mac OS 9〜X への移行の頃にソフトウェアが全然ダメになりました。その後改善されて、OfficeJet 6500, OfficeJet Pro 6830 はどちらも快適に利用できたのだけど、今回は大きく後退した。まあ、周辺機器のドライバ開発は OS 依存性が大きくて大変面倒なのは理解できるし、本当は「スキャナからデータをもらってファイルとして保存する」なんて機能は OS 側で実装すべきものだろうから、あまり HP に文句を言うのも筋違いかなとは思う。しかし、使い勝手が著しく悪化したのはやっぱり残念ですね。HP のプリンタが好きなので余計に残念に思う。

 なお、プリントは全く問題ありません。紙送りが不調だった先代の 6830(左)と、新しい 8020(右)です。先代は3割ぐらいの確率で左のように失敗していたけど、新しいのは今のところ失敗ゼロです。

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 上の図はスキャナで撮ったものです。1枚だけならいいんだけど、何枚もスキャンするときに Mac とプリンタの間を往復するのがめんどい。というわけでスキャナ機能は微妙だけど、プリントはしっかりやってくれそうなので、またしばらく働いてもらいましょう。

タグ:Mac プリンタ
Posted at 2023年01月03日 12:38:07
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