享年92歳。なんだか、いつまでも若々しくて、いつまでも生きていらっしゃいそうな雰囲気でしたね。
他の多くの人と同じく、私も谷川さんの詩に出会ったのは、国語の教科書に載っていた「二十億光年の孤独」でした。中学1年の時だったかな? 「ネリリし キルルし ハララしているか」という言葉のリズムや、「それ故みんなはもとめ合う」の1行にこめられたほのかな官能が中学生には新鮮で、授業がけっこう騒がしかったのをよく覚えています。
文庫本で詩集も買いました。「落首九十九」が好きでした。たぶん全部は載ってなくて、一部の抜粋。有名な「ベートーベン」もたしかここに入っていたと思うけど、今手元にないからわからない。
谷川さんは自作の詩に他人が曲をつけることを好んでいなかった、と私は思っていました。どこかでそういう記述を読んだことがあった、ような気がするのです。でも、谷川さんは武満徹さんと親交があったし、谷川さんの詩に武満さんが曲をつけた歌曲はたくさん残されています。知らない作曲家に詩を勝手に解釈されるのが好きじゃなかったのかな。でも谷川さんは詩の解釈についてはとても鷹揚だったようだし、そもそも「曲をつけることを好んでいなかった」というのが本当かどうかも怪しいので、まああまり深入りしないことにします。
なんでこんな曖昧なことをわざわざ書いたかというと、昔、谷川さんの「祝婚断章」に曲をつけたことがあるのです。知人の結婚記念に送った作品で、自分の結婚披露宴でも抜粋して歌ってもらいました。その後、この作品について語ったことは一度もないのですが、そろそろこっそり放流してもいいかな、と思っています。ただし、詩は当然著作権保護されていますので、曲だけです。原詩に一字一句忠実に音を当てているので、原詩を参照してもらえれば歌うことはできると思います。