2024年07月22日

「パレスチナを知るための60章」(臼杵 陽・鈴木啓之編著、明石書店)

 昨年のハマースによるイスラエル攻撃と、その後のガザ地区へのイスラエルの侵攻を受けて、もっとパレスチナのことを知らないといけない、と強く感じました。とりあえず全体像を見ようと、この本を手にとりました。

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 読むのに2ヶ月ぐらいかかりました。多数の専門家が様々な角度からパレスチナを論じています。60章を1冊に収めるため、各章は短い中に多くの情報が詰め込んであり、なかなか理解しきれません。この問題の初心者には少し難しすぎたかな。まずはパレスチナを巡る歴史・政治の流れを先に学ぶ必要がありました。この本はそういう知識をすでに持っている人が対象になっているようです。

 ただ、実際にパレスチナの人々と交流した体験も多く紹介されているので、歴史的な流れとは別に、パレスチナの人々の「生きる姿」を垣間見ることができるのは、この本の強みでしょう。「余談」的な位置付けではありますが、パレスチナ系アメリカ人のコメディアンの紹介はちょっと笑えました。

「私は33歳で結婚したけど、……脳性麻痺を持つ私の体はブーケをキャッチするには不便だけど、トスの方は得意よ。パレスチナ人は、何かを投げるっていうのが上手いのよ。石とかね」(ガザ出身の男性と結婚した女性コメディアン)

「2013年のボストンマラソンで爆破事件があった直後なんだけど、……(自分の "Support Boston" というTシャツを見て白人が)鼻で笑うんだ。……『ムスリムだろうがアラブだろうが、ぼくらにだってこの国で自由に生きる権利はあるだろ!』って怒鳴ったんだ。そしたら『いや、そうじゃなくて、あんたその体でマラソン走りそうにないなって』だって!」(大柄な体がトレードマークの男性コメディアン)

(本書207ページ)

 本書は2016年の出版なので、アメリカがイスラエル大使館をエルサレムに移転したり、UNRWAへの拠出金を停止したりした経緯は述べられていません。もちろん現在進行形のガザ侵攻についてもです。パレスチナ問題について理解を深めることで、「軍事的・経済的に圧倒的な強者から蹂躙を受けている時、どのような抵抗が可能なのか」に思いを馳せて、可能な支援について考えたいと思うのです。日本の国力が急激に衰退している現在、これは全く他人事ではありません。

タグ:読書 社会
Posted at 2024年07月22日 19:44:10

2024年07月21日

エワルド (Ewald, Victor) の金管五重奏曲

 ふと思い立って、学生時代に仲間が演奏していた金管五重奏曲を聴こうと、YouTube で探してみました。人気があってよく演奏されていたのはエワルドの3番の第1楽章です。

 YouTube ではスコアが表示される動画が増えてきているのですが、この曲はないみたいですね。IMSLP でもフルスコアは登録されてない。Victor Ewald ってけっこう古い人のはずだけど、なぜだろうと思っていました。どうやら、出版されたのがかなり最近であるため(Wikipedia 英語版による)、アメリカでは著作権がまだ生きているようです。日本での管理状況を調べてみましたが、作曲者の著作権が消滅しているのは確かだけど、出版楽譜の著作権についてはよくわかりませんでした(J-WID: 作品データベース検索サービスによる)。

 もう一つ思い出したのは、2番の終楽章で、トロンボーンにこんなフレーズがあって、「こんなん出来るわけないやろ」とトロンボーン吹きがこぼしていたことです。エワルドの時代では、このパートはテナーホルンで演奏されていたそうです。テンポが速いので、バルブ式かピストン式でないと無理ですよねえ。

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 このフレーズは、1オクターブ上のトランペットとユニゾンなので、トロンボーンは4分音符で刻んで演奏することもあるようです。下の演奏動画を見ると、トロンボーンは一応このフレーズを演奏しているようにも見えますね。私はトロンボーンの演奏には詳しくありませんが、詳しい方はどう見られますでしょうか。

タグ:音楽
Posted at 2024年07月21日 00:20:30

2024年07月17日

福井鉄道南越線:社武生〜粟田部

 小学生の頃、知人を訪ねて福井県武生市に旅行で行きました。新大阪から米原まで新幹線に乗り、米原から北陸線(しらさぎ)で武生まで行きました。このルートを選んだのは、電車好きだった私を新幹線に乗せてやるためだったと思います。ちなみに、復路は湖西線経由で大阪まで直行(雷鳥)でした。湖西線は当時開通間もなかったように記憶しています。ということは、1975年だったんかな?

 さて、武生駅に着いた後に、なんだかローカル電車に乗った記憶がうっすらとあるのです。この電車の正体が、なかなかわかりませんでした。ところが、Facebook で「おすすめ」のページとして福井鉄道のチャンネルが表示されて、「あっこれかも!」と思って調べました。やっと見つけた!

【公式】福鉄Tube 大人のための福鉄電車大図鑑 5 さようなら南越線

 始点が社武生(しゃたけふ)駅、終点が粟田部(あわたべ)駅。うん、そうだったわ。思い出した。どちらも少し変わった駅名だから、印象に残ったんだった。粟田部駅のホーム、確かにこんな感じだった。電車を降りた後、スロープでホームから降りていくの。

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 そのあと、駅から少し離れたところで線路をまたいだとき、案内してくれた知人のおじさんに「電車来ない?」と聞いたら、「ここはもう電車走ってないんだ」と答えが返ってきた。粟田部〜戸ノ口間は1971年に廃線になっていたのです。なんかいろいろつながるなあ。

 その知人が誰だったのか、どういう関係の人だったのか、私はよく知らないのです。父に聞いたら知ってるのかもしれない。大きな家の一室に泊めてもらって、そこの子供たちとかくれんぼをして遊んだり、海に行っておじさんたちがフグばっかり釣ってるのを眺めたり、越前和紙の展示館で紙すき体験をしたり(展示を見ただけだったかも)。母は当時体が弱く、出不精でもあったので、これがうちの唯一の家族旅行になりました。

タグ:社会
Posted at 2024年07月17日 22:58:34
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