2025年02月01日

名古屋芸術大学ウィンドシンフォニー定期演奏会

 久しぶりに吹奏楽の演奏会に行ってきました。思い返してみると、吹奏楽の演奏会はけっこう足を運んでいるけど、アマチュアの演奏会しか行ったことがなかった気がします。今回の演奏会は、名古屋芸大の学生さんと卒業生で構成されていて、卒業生の方が多いので、まあ半分以上プロの演奏会ですね。

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 今回の演奏会は「ベルギーの音楽」がテーマとのことです。前半はベルト・アッペルモント (1973〜)、後半はヤン・ヴァンデルロースト (1956〜) の作品です。どちらも吹奏楽界隈では人気のある作曲家です。アッペルモントの「ブリュッセル・レクイエム」は最近よく取り上げられています。ヴァンデルローストは何が有名なのかな。「カンタベリー・コラール」? ちなみに、私はヴァンデルローストはオランダの人だと思っていました(物理学者のファンデルワールスと名前が似てるし)。ベルギーの人なんですね。

 1曲目、交響詩「エグモント」。「ファンファーレ・バンド」という編成での演奏です。サクソフォーンとサクソルン族金管楽器に、その他の金管楽器と打楽器を加えた編成だそうです。遠目で見ても、変ロ調と変ホ調のビューグルらしい楽器があることはわかりました。それより大きい楽器は、遠目ではちょっとユーフォニウムと区別がつかない。ユーフォニウムより少し管が細いかな?

 音楽の方ですが、中音域が分厚くて、聴き疲れるのが早いですね。野外演奏向けの編成なのかも、と思います。音色のバリエーションに乏しいのもなかなかしんどいです。サクソフォーン・サクソルンを開発したアドルフ・サックスは「音色の統一感」を追求したとのことですが、音色が均一であることって音楽表現にとってプラスになるとは限らないように思います。多彩な音色があった方が、表現の幅は広がるんじゃないのかなあ。

 2曲目、「サガ・キャンディーダ〜魔女狩りの7つの印象」。これはフル編成の吹奏楽です。木管楽器の音が聞こえて、ほっとしました。音楽は親しみやすい展開ではありますけど、あまり印象的なものではなかったかな。

 3曲目、ここから後半です。「ダイナミカ」これは面白い。ファンファーレはまあわりとよくある感じですが、そのあとのコラール部分は音の表情が豊かに変化します。またファンファーレをはさんで、次の速い部分は音使いが独特です。半音階なんかな。展開が早くてよくわからなかったけど、楽しく聴けました。

 4曲目、「管楽器のためのアダージョ」。今日の曲目の中ではこれが一番好きでした。金管の人数を減らして、抑えめの音作りです。メロディと和声の移り変わりがとても美しい。

 5曲目、「オスティナーティ」。3つの楽章が続けて演奏されます。第1楽章はちょっと単調でした。「オスティナート(あるモティーフの繰り返し)」がテーマなんでしょうけど、楽想の変化に乏しいので、だんだん飽きてきます。第2楽章は緩徐楽章で、とても興味深い仕掛けがありました。サクソフォーンのソロからアンサンブルになって、その後違う楽器のセクションに音楽が引き継がれていきます。「音色旋律」のアイデアを楽器のセクションに応用した、という趣です。楽想自体も、霊感のひらめきに満ちた素晴らしい音楽です。第3楽章は再び速く活発な楽章で、対位法的な書法が目立ちますが、ちょっと理屈っぽい感じもしました。ヴァンデルローストって、遅い楽章の方がうまいんじゃないかな。演奏者の方は、速くて派手な曲を好むんですけどね。

タグ:音楽
Posted at 2025年02月01日 11:12:19
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