たいへん久しぶりに、コンサートに行ってきました。愛知県ゆかりのピアニスト、亀井聖矢さんのソロコンサートです。現在ヨーロッパ?を拠点にされているようで、今回は「凱旋リサイタルツアー」だそうです。場所は愛知県芸術劇場コンサートホール。会場は満席でした。チケット入手に少し出遅れたため席は3階で、音響的にはベストとはいえなかったかも。
曲目は以下の通りです。けっこう攻めたプログラムです。
- ショパン:3つのマズルカ Op. 59(イ短調、変イ長調、嬰へ短調)
- ショパン:幻想曲 Op. 49
- ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ Op. 22
〜休憩〜
- ラヴェル:ラ・ヴァルス
- ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
- ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3章
ショパンのマズルカは分かりづらい曲が多くて、Op. 59 もその部類じゃないかと思います。音響的に響きすぎて音の解像度がイマイチというのもあって、正直よくわからなかった。亀井さんの思い入れもあんまり伝わってこなかった。なんでこの曲だったんだろう??
幻想曲は私はショパン作品の中でも好きな曲の一つなのですが、これも今ひとつ乗れませんでした。「え、そこのベース主張しないんだ??」とか「ここ推移部ちゃうのん?そんなにアピールせんでも……」とか構成がいちいち気になってしまって、音楽に入り込めなかった。まあ、解釈の違いと言ってしまえばそれまでではあるのですが。「アンダンテ……」はノーコメント。この曲苦手なんです。
休憩をはさんで、後半に期待です。「ラ・ヴァルス」は素晴らしかった。作曲者が原曲(オーケストラ版)から省いた音を、いろいろ足して演奏されてました。以前に書いたこことか。
それに続く部分も、小さい音符が足されていました。こんな感じかな?
こういうところのグリッサンドは、正直ちょっと邪魔な感じがしました。白鍵だけのグリッサンドだと、調性感が崩れてしまうのですね。
次の「亡き王女のためのパヴァーヌ」は無難な演奏。これは息抜きですね。聴衆にとっても演奏者にとっても。
「ペトルーシュカからの3章」もまた素晴らしかった。特に3曲目が面白かったです。曲想が次々と出てきますが、重要なフレーズがとてもくっきり聞こえてきつつも、整然とまとまらずに「ごちゃごちゃした」感じがよく出ていて、絶妙でした。この曲はあまり「きれいに」弾かれると、ちょっと物足りなくなってしまうのです。
アンコールは2曲、「ラ・カンパネラ」と「英雄ポロネーズ」。ペトルーシュカを弾いた後にこの2曲ですよ。体力あるねえ。
全般的に、演奏技術と楽器を鳴らす力は文句なしに素晴らしい、音楽の組み立てはまだまだ発展途中なのかな、という感想を持ちました。何年かあとに、またぜひ聴いてみたいです。