「2022年にパブリックドメインとなる著作物とは?」という Gigazine の記事ですが、これおかしいのでは?
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの作品など2022年にパブリックドメインとなる著作物とは?https://t.co/esMeY09u8B
— GIGAZINE(ギガジン) (@gigazine) December 3, 2021
記事の冒頭で、「毎年1月1日、著作権保護法による保護期間が終了する著作物や知的創作物が、知的財産権の対象から離れてパブリックドメインとなります。日本の場合、2022年1月1日には、1951年に没した人物が対象となります。」とあります。しかし、日本で著作権の保護期間が70年になったのは2018年12月30日からです。それまでは、保護期間は50年です。したがって、「1951年に没した人物」の作品の著作権は、2002年1月1日に消滅しています(戦時加算がなければ)。
いったん著作権の保護が消滅した作品については、後で保護が復活することは原則的にはありません。2018年の著作権法改正についても、文化庁のウェブサイトに下記の通り明記されています。
問4 既に保護期間が切れている著作物等の保護期間はどのようになりますか。
(答)著作権法においては,一度保護が切れた著作物等については,その保護を後になって復活させるという措置は採らないという原則があるため,改正法の施行日である平成30(2018)年12月30日の前日において著作権等が消滅していない著作物等についてのみ保護期間が延長されます(TPP整備法附則第7条)。したがって,既に保護期間が切れているものについては,遡って保護期間が延長されるわけではありません。
著作物等の保護期間の延長に関するQ&A:文化庁
例えば、Gigazine の記事中に紹介されているジョン・オールデン・カーペンター (1876-1951) の作品「乳母車の冒険」を JASRAC で調べてみたところ、確かにパブリック・ドメインになっています。
ところで、「いったんパブリック・ドメインとされた作品が、後になって保護再開された」という例外的なケースが最近ありましたね。ジョージ・ガーシュウィン (1898-1937) の一部の作品が、兄との共作であることが確認された、という件です。
書きました>ジョージ・ガーシュインの一部作品の著作権が復活:クリエイターへの影響は?(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース https://t.co/fceolFCGvm
— Kiyoshi Kurihara (@kurikiyo) September 9, 2021
あと、ジャック・イベール (1890-1962) の一部の作品の著作権保護が再開された、というニュースもだいぶ前にありました。Facebook で「生き返ったん?」ってジョークで返している人がいて、笑った。