2023年02月19日

オーガニック給食

 今日の中日新聞サンデー版は「オーガニック給食」でした。オーガニック給食は、先日の愛知県知事選挙で尾形慶子候補が公約として掲げていた。12/14の中日新聞にも「オーガニック給食の推進を 市民団体が県、県教委に要望書提出」という記事が出ている。話題なんですかね。

 有機農業って、大規模にやるには、コスト面でとても大変だと思うんですよ。「タネが危ない」の野口さんが F1 品種について述べていたことは、そのまま農薬や化学肥料を使った農業にも当てはまると思う。つまり、大規模に食料生産を行い、産業として成立させるためには、やむを得ない選択であると。だから、名古屋市みたいに大人口を抱えて、人口密度も高い都市部で、完全オーガニック給食を目指すのは、現実的じゃないと思う。特に、「給食」というからには教育予算をそこに充当することになるわけだが、それよりも優先度の高い課題はたくさんあるでしょう。

 学校が自前の畑を持って、そこで育てた野菜などを給食に供して、生ゴミは堆肥化して畑に戻す……というような循環が成立する環境であれば、完全オーガニックを目指すのもよいと思う。都市部でこのような循環型が到底無理な環境であれば、月に数日オーガニックの食材を使った企画メニューを立てる、という程度にとどめるのが現実的だろう。

 あと、オーガニック給食にしたら「食べ残しがなくなった」とか「子供たちの体力が向上した」とか「情緒が安定した」とかいう話が流れて来がちなのだけど、そのあたりは私は懐疑的に見ています。仮にそういう事実があったとしても、「オーガニックな食材を使ったこと」が主要因なのかどうかが不明瞭だからです。オーガニック給食にするのと同じタイミングで、調理する人も変わるし、メニューも変わるのが普通だと思う。だから、「通常の大量生産の食材を使って、他の条件はすべて同じにしたとき」と比較しないと結論は出せない。

 オーガニック志向の人って、「お気持ち」と「明確なエビデンスのある話」を区別せずにふわっと話をされることが多いように思う。そこはちゃんと分けて欲しいんだよね。「お気持ち」だけではお金は出せないし、票も出せないんですよ。心情的には応援したいところであるだけに、余計にそう思います。

タグ:社会 教育
Posted at 2023年02月19日 22:19:38
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