2021年02月13日

舘野泉60周年記念リサイタル

 舘野泉さんのピアノリサイタルに行ってきました。

20210213-1.jpg

 緊急事態宣言まっただ中なのですが、しらかわホールは8割ぐらい埋まってました。中高年が中心で、若い人はちらほら。ほぼ新曲のみの攻めたプログラムなのに、これだけ人が呼べるのはすごいなあ。

 今回はバッハ/ブラームスの「シャコンヌ」がオープニングでした。あんまり音がちゃんと鳴ってないところもあって、舘野さんの指慣らし・こちらの耳慣らし、という感じ。長調に転調するあたりから少し暖まってきたかな。次がスクリャービンの2曲。つくづく思うけど、この曲よくできてるよねえ。左手ピアノ曲のリファレンスの役割を果たしているんじゃなかろうか。左手ピアノの曲を書く人も演奏する人も、必ずこの曲は通るだろうからね。

20210213-2.jpg

20210213-3.jpg

 次から新曲です。ここから、譜めくりの方が入りました。「苦海浄土によせる」(光永浩一郎)は緊張感が見事だった。第2楽章のフーガがとりわけ素晴らしい。これは楽譜が出版されたら入手したい。「左手のためのピアノシリーズ」に入るのかな?

 休憩をはさんで、後半。1曲目「夢の王国」(新実徳英)の前に、舘野さんがマイクを持って「少し話をさせてください」と話し始めた。もちろん客席は大拍手で歓迎。この曲の楽譜が届いた時に「ぎょっとした」という話、第3曲「夢階段」のフレーズをいくつかピアノで引用して解説、などなど。舘野さんの語り口はほんとうに優しい。そして演奏。作品の印象は若干薄かったかな。第2曲「夢のうた」は、合唱曲が得意な新実さんの本領発揮、と感じた。

 続いて、「悦楽の園」(パプロ・エスカンデ)。これも演奏前に解説あり。作曲者とは親しく交流されているようで、エピソードが微笑ましい。私は美術には明るくないので、ヒエロニムス・ボスの絵画作品は知らなかった(題名だけは聞いたことがあるような気がする)。詳しくは Wikipedia の記事などをご覧ください。音楽は、旋法的、あるいは中世的な音使いが特徴的だった。注意深く繰り返して聴いたら、いろいろ気づくことがありそう。1回聴いただけだと、第4曲の「地獄」のパフォーマンス(足踏みなど)に全部持って行かれてしまう(笑)

 アンコールは「赤とんぼ」と、カッチーニの「アヴェ・マリア」。曲紹介の時に、舘野さんは「アヴェ・マリアは吉松さんが編曲してくれました」とあっさり言っていて、えー今日の客は吉松隆を知っていることが前提かよ、ハードル高くないか?と思った。まあしかし、今回のプログラムで足を運ぶぐらいの人なら、知ってて当然かな。

タグ:音楽
Posted at 2021年02月13日 16:52:18
email.png