Donald Knuth's 2019 'Christmas Tree Lecture' Explores Pi in 'The Art of Computer Programming'。いろいろ驚いた。
まず、クヌース先生がまだご健在で、今年のスタンフォード大学の「クリスマスツリー・レクチャー」に登場されたということ。それから、πの数字を暗記するための英語の文章の話。「暗記するための文章」とは、文中の単語の文字数を数えて並べるとπの近似値になる、というものです。たぶん最もよく知られているのは、以下の文。
Can I ride a horse? Certainly! Of Course!
訳:僕が馬に乗れるかって? 当然だろう! もちろんだよ!
各単語の文字数を数えると、3.1415926
が得られる。もう少し凝ったものが、上の記事にも出てくる次の文。この文は、3.14159265358979
までを含んでいる。
How I need a drink — alcoholic, of course — after the heavy lectures involving quantum mechanics.
訳:量子力学の厄介な講義の後には、ドリンクが一杯(もちろんアルコールの入ったやつ)欲しいよねえ。
クヌース先生も紹介しているが、確かこの文章はマーチン・ガードナーの数学コラムで読んだ気がする。そのコラムは、「幸いにも、πの33番目の数字はゼロである。だから、この種の文章を作る試みは、あまりに長くなり過ぎる前に終わりを迎えることができる。」(うろ覚えだけど)という風に結ばれていた。
ところが、この話はそのような終わりを迎えなかったんですね。マイケル・キース(数学者)の "Not a Wake" という小説(?)。これはπの最初の 10000 桁を表すように書かれている。数字 "0" は 10 文字の単語で、また "11" という並びは 11 文字の単語で表している。
書名もπになっていますね。"Not a Wake — A Dream Embodying π's digits fully for 10000 decimals" = 3.14159265358
。いやーすごい。こういう試みにエネルギーを費やす人って、日本にはなかなかいない気がする。長手数の詰将棋を作る人とかがそれに近いかなあ。あと、Excel でマリオを再現している人とか。ちょっと違うかな。