2012年11月21日

X線構造解析ソフト ShelXle

 単結晶X線構造解析をやる人なら誰でも知っている SHELX。1976年に初版が発表されて以来、ずっと広く使われている。古式ゆかしき FORTRAN で書かれているので、インターフェイスは当然コマンドラインベースである。昔は大型計算機センターにジョブを流して、ラインプリンタの出力を取りに行って(ベルトコンベヤで紙の束が運ばれてくる)、紙をめくって数字の羅列をじっとにらみながら手作業で分子構造を組み立てたものだった。今となってはこのスタイルはさすがにハードルが高いので、生の SHELX は使いづらいな、と思っていたのだが、Qt で作られたラッパー ShelXle というのを最近発見した。Windows や X window 限定じゃなくて、クロスプラットフォームなのがありがたい。タイトルの "A cute graphical user interface for SHELXL" の cute は Qt にかけてるわけね。

 さっそく使ってみたら、どうも動作がおかしい。数字の出力に変なゴミが混じっている…この症状は見たことがあるぞ。案の定、手元のマシンで動いている SHELX が PowerPC 版だった。FORTRAN のプログラムは Rosetta 経由だと誤動作するんです。エンディアン依存のコードがどこかにあるんだろうな。gfortran でコンパイルし直して解決した。ShelXle は、グラフィック表示を参考にしながら SHELX のコマンドファイルを手作業で編集する、というコンセプトなので、SHELX を知らないと訳がわからないかも知れない。逆に SHELX をよく知っている人なら、全面的に GUI 化されて後ろで何をやっているかわからないパッケージソフトよりも、かえって使い勝手がいいと思う。

Posted at 2012年11月21日 00:26:12
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