2012年10月04日

パナソニックの酸素富化膜

 「厚さ100ナノメートルの超薄膜にかけた20年 ~酸素富化膜~」。パナソニックの広報サイトなのだが、この記事(2003年3月25日)は実にすばらしい。100ナノメートルの膜って大変ですよ。光や電子が通るだけじゃなくて、モノ(気体分子)を選んで通過させる、という役割だから、負荷がハンパじゃない。こんなものを量産化して、家庭向けの商品に乗っけるなんて、とてつもない技術開発力だ。松江松下電器恐るべし。文章(加藤久人さん)もいい。「エピローグ」のこの一節は、企業技術者への熱いエールになっている。

たとえ優れた技術でも、それが日の目を浴びなければ、それはその研究者のキャリアにはならない、あるいはキャリアとして評価してもらえない。そんな中で、ひたすら膜の性能向上に打ち込んだ研究者たちの肝の据わりようはどうだ。それを支えた上層部の我慢強さはどうだ。彼らに共通しているのは、この膜こそ日本、いや世界に必要とされる技術なのだ、という信念、この膜を広めていくという使命感ではなかったか。

タグ:科学
Posted at 2012年10月04日 22:54:03
email.png