Digitalians' Alchemy: タグ「読書」(1-50)

2024年02月13日

「リア王」(シェイクスピア、福田恆存訳、新潮文庫)

 シェイクスピアの戯曲は、大人になってからちゃんと読んだことがなかった。小学生の時以来の再読です。小学校の国語の教科書に最初の部分の抜粋が出てたんですが、今でも取り上げられてるんですかね? なぜ「リア王」なのか、...

2024年01月13日

「日本を思ふ」(福田恆存著、文春文庫)

 少し前に「文學界」で福田恆存特集(2023年7月号)が組まれたと聞いて、昔読んだ本を引っ張り出して再読しました。福田氏の「日本」に関わる代表的な論考をコンパクトにまとめた本です。...

2023年08月20日

「福田村事件」(辻野弥生著、五月書房新社)

 映画「福田村事件」が今年9/1に公開されるということで、話題の本です。  関東大震災の時に起きた朝鮮人虐殺に乗じて、香川県から千葉県に来ていた行商人の一行が朝鮮人と間違えられて殺されたという、...

2023年08月13日

「掃除婦のための手引き書」(ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳、講談社文庫)

 海外文学を読むのはずいぶん久しぶりな気がします。なんで手に取ったんだったか、よく覚えてないんですが、新聞の書評か何かで見たんだったかな。それとも誰かのツイッターだったかな?  24作の短編集です。...

2023年08月10日

「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」(鈴木エイト著、小学館)

 話題になってからずいぶん時間がたってしまいましたが、改めてこの問題を考えるため、手にとりました。  安倍元首相の暗殺事件のあと、安倍氏と統一教会の深い関係が広く知られるに至ったわけですが、...

2023年06月14日

「こんな政権なら乗れる」(中島岳志・保坂展人著、朝日新書)

 最近の政治の動きを見ていると、げんなりすることがあまりにも多いのです。そんな中でも、少しでも希望を持って前に進むことはできないものか。中島さんと保坂さんに教えてもらおうと思い、...

2023年05月18日

「テロルの原点」(中島岳志著、新潮文庫)

 1921年に財閥トップの安田善次郎を無名の青年が殺害した事件について、犯人の朝日平吾の半生をたどり、背景について考察した書です。2009年に筑摩書房から出版された「朝日平吾の鬱屈」を改題して、...

2023年04月20日

「文字渦」(円城塔著、新潮文庫)

 中島敦の名作(?)「文字禍」を一文字変えたタイトルで、ほかでもない円城塔氏の作品。何か仕掛けがあるんだろう、と思って手を出したら、これはなかなか難物でした。  「文字」を巡って、...

2023年01月08日

「タネが危ない」(野口勲著、日本経済新聞出版社)

 2011年出版の本なので、今さらではあるんだけど、面白く読みました。  タネの話のはずなのに、いきなり著者が手塚治虫の担当編集者になって「火の鳥」の原稿を受け取った話から始まる。...

2022年06月26日

「朝日新聞政治部」(鮫島浩著、講談社)

 話題の本です。ほぼ一気読みしました。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  これは、鮫島氏自身の「栄光と転落の軌跡」を描いた本です。本の帯に「崩壊する大新聞の中枢」と大きく書かれており、...

2022年01月29日

「マチズモを削り取れ」(武田砂鉄著、集英社)

 世の中にあふれかえる「男性優位」について、「このままでよいのか?(いや、よいはずはない)」と粘り強く考察する本。武田さんの単著だけど、実質的には「すばる」の女性編集者Kさんとの共著といってもよさそう。...

2022年01月04日

「他者の靴を履く-アナーキック・エンパシーのすすめ」(ブレイディみかこ著、文藝春秋)

 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で話題になった「エンパシー」。「シンパシー」と似ているようで違う。「シンパシー」は「感情」だけど、「エンパシー」は「能力」なので、...

2021年04月14日

「そこに工場があるかぎり」(小川洋子著、集英社)

 新聞に新刊広告が出た時に、妻に「小川洋子さんの工場見学の本出てるよ」と教えてもらった。いやもちろんチェックしてましたとも。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  第一話の「エストロラボ」(金属穴あけ加工)で、...

2021年03月20日

「人新世の『資本論』」(斎藤幸平著、集英社新書)

 話題の本を読みました。非常におもしろかった。ほぼ一気読み。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  本書はいきなり、「SDGs は『大衆のアヘン』である!」という煽りで始まる。...

2019年12月14日

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(ブレイディみかこ著、新潮社)

 イギリス社会の分断を「保育士」「子育て母さん」の立場で舌鋒鋭く描くブレイディみかこさん。今回の主役は、中学生の息子さんだ。  カトリック系のセレブな小学校から、...

2019年11月24日

「あとは切手を、一枚貼るだけ」(小川洋子・堀江敏幸著、中央公論新社)

 往復書簡の形をとった、リレー小説。  それにしても、往復書簡なのに、小川さんの初手がこれですよ。 昨日、大きな決断を一つしました。まぶたをずっと、閉じたままでいることに決めたのです。...

2019年10月12日

和田誠さん逝去

 享年83歳。あらゆる方面ですばらしい才能を発揮した人だった。思い出す作品はたくさんある。印象深いのは、谷川俊太郎さんとのコラボ作品。絵本の「これは のみの ぴこ」や「ともだち」、...

2019年10月06日

「おまじない」(西加奈子著、筑摩書房)

 西さんの小説、初めて読了しました。  帯に「女子たちの背中をそっと押してくれる魔法のひとこと—」とある。いろいろと背伸びして、頑張って生きて、でもそういうことに実は疲れていて、...

2019年08月22日

「紋切型社会」(武田砂鉄著、新潮文庫)

 ちょっと気分を変えて、久々の読書ネタ。「紋切型社会」(武田砂鉄著、新潮文庫)です。  読み進めるのに、とても骨が折れる本だった。もちろん、良い意味で。  武田砂鉄さんは、...

2019年03月12日

本は読まなくてもいい

 最近、なるべく時間を作って本を読むようにしようと思っている。だけど、「本は読まなくてもいい」? "人は、いつか読みたいと願いながら読むことができない本からも影響を受ける。...

2018年09月16日

「そろそろ左派は<経済>を語ろう」(ブレイディみかこ・松尾匡・北田暁大著、亜紀書房)

 良書です。机上の空論に走って「地べたに生きる」国民を忘れ去った日本の左派に、怒りの鉄槌を。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  政治学者の北田氏、...

2018年08月23日

「ルビィのぼうけん」(リンダ・リウカス著、鳥井雪訳、翔泳社)

 うーん、惜しい本だ。志は買う。やりたいことはわかる。でも、ちょっと届いてないかな。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  ここに書かれているメッセージは、...

2018年08月14日

「ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ」(イリーナ・メジューエワ著、講談社現代新書)

 これは素晴らしい本だ。現役ピアニストがピアノ曲の分析・解釈・演奏法について語ったもの。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  何が素晴らしいかというと、...

2018年07月22日

「沈黙」(遠藤周作著、新潮文庫)

 猛暑にも関わらず、丸善名古屋店に行ってきた。買ってきた本の一冊がこれ。妻が旧版を持っていたのだが (「1983.4.14.」とメモが残っている)、今の私たちには小さい活字が辛いので、...

2018年05月28日

「『育つ土』を作る家庭菜園の科学」(木嶋利男著/講談社ブルーバックス)

 先日の「生ごみ先生」の本に続いて、土作りの勉強。今度はブルーバックスなので、科学書としての性格が強い。もちろん学術書ではなくて、一般向けの本ではあるけど。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  一部、...

2018年05月10日

「生ごみ先生の元気野菜革命」(吉田俊道/東洋経済新報社)

 生ごみコンポストで家庭菜園をやっているが、どうも思うようにいかない。ネットの情報だけじゃなくて、ちゃんと本になっているものを読んだ方がいいな、と思い、図書館で目についた本を何冊か借りてきた。...

2018年05月01日

「この話、続けてもいいですか。」(西加奈子、ちくま文庫)

 西加奈子さんって、売れっ子の作家さんじゃないですか。「きいろいゾウ」って映画になってて、宮崎あおいと向井理が草の上にまったり座っているスチールが印象に残ってて、...

2018年04月24日

「戦後入門」(加藤典洋、ちくま新書)

 中曽根首相が「戦後政治の総決算」を掲げた時代に青年期を過ごした私にとって、「日本の戦後とは何か」というのはずっと心に引っかかる問題だった。また、現在の安倍首相がめざす「美しい国」なるものが、...

2018年03月27日

「ティンパニストかく語りき」(近藤高顯/学研)

 ティンパニ奏者としての視点で、オーケストラの中でのティンパニの役割や、名ティンパニストの愉快な逸話を満載した快著。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  著者のティンパニとの出会いがまずおもしろい。...

2018年03月24日

「羊と鋼の森」(宮下奈都/文春文庫)

 文庫になったので速攻で購入しました。図書館だと数百人待ち。宮下さんの他の本はほとんど誰も借りてないのに、本屋大賞の威力はすごいねえ。 (クリックすると Amazon の商品ページに飛びます)  北海道の地方都市を舞台に、...

2018年03月17日

「アントキノイノチ」(さだまさし/幻冬舎文庫)

 つらい過去を抱えながらも、遺品整理業者の見習いとして働く杏平。悪意のある同級生に殺意を覚えた高校時代の回想と、すさまじい現場を処理しながらも故人の尊厳を誇り高く守る先輩社員たちの仕事の様子が、...

2018年01月03日

「Diary of a Wimpy Kid」(Jeff Kinney, Amulet Books)

 英語教材としては、断じてお勧めできない。文章は下品だし、描写されているいたずらの内容は度を越している。学校の教師や教育委員が読めば、間違いなく「問題図書」に分類することだろう。...

2017年12月21日

「終わらない歌」(宮下奈都/実業之日本社)

 「よろこびの歌」の続編。音大に進んだ御木元玲は、相も変わらず自分の才能が足りないことに悩んでいる。いつも前に進めずにもたもたしている玲の背中を押すのは、やっぱり千夏ちゃんだ。...

2017年12月10日

島村楽器・丸善名古屋店

 恒例の家族丸善ツアー。その前に、名古屋パルコに立ち寄って、家族それぞれ買い物(または冷やかし)の用事を済ませた。自分は島村楽器で、MIDIキーボードを物色。DTM の入力用に Korg MicroKey を考えていたのだが、...

2017年11月03日

「よろこびの歌」(宮下奈都/実業之日本社)

 音楽家を目指していたが挫折した女子高校生と、その周囲のクラスメイト達の群像劇。帯に書いてある「校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる……」という紹介を見て、...

2017年07月10日

丸善名古屋店にお出かけ

 半年に一度、恒例となった丸善名古屋店へのお出かけ。子供たちもだいぶ慣れてきて、買いたい本をあらかじめ選んでおくようになった。と言っても、そんなに手当たり次第に読んでいる感じではない。...

2017年05月15日

「夜は短し歩けよ乙女」(森見登美彦/角川文庫)

 アニメ映画の予告編を見たとき、阿闍梨餅の本店(正確には「満月」の本店、ですかね)がちらっと映ったんですよ。ああ懐かしい、と思って、思わず本書を手に取ってしまいました。...

2017年04月01日

「クラシックの真実は大作曲家の『自筆譜』にあり!」(中村洋子/DU BOOKS)

 楽譜を読むのが好きなもので、書名に大いに興味を惹かれて読んでみました。自筆譜の話は確かに面白い。でも、楽譜の話は半分ぐらいなんだよね。現代の商業音楽とアカデミックな音楽界を批判することに相当のページが割かれている。...

2017年03月20日

「異性」(角田光代・穂村弘/河出文庫)

 少し前から、穂村弘さんのエッセイにハマっている。「絶叫委員会」とか「現実入門 ほんとにみんなこんなことを?」とか。  本書は、書名にある通り「男と女」について、...

2017年01月22日

丸善名古屋店にお出かけ

 半年に一度の定例になった、家族での丸善名古屋店へのお出かけ。家族四人がそれぞれ好き勝手に本を買って、総計20冊ほど。会計に15分ぐらいかかりました。  自分が今回買った本たち。...

2017年01月03日

「ロボット・イン・ザ・ガーデン」(デボラ・インストール/松原葉子訳、小学館文庫)

 あけましておめでとうございます。お正月休みに、この本を読了しました。 2016年ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた、抱きしめたいほどかわいくて切ない友情物語! AI(人工知能)の開発が進み、...

2016年10月31日

「空気の発見」(三宅泰雄著、角川ソフィア文庫)

 絶賛品切中だった「ロウソクの科学」を Amazon で注文すると、一緒に「空気の発見」をお勧めされた。これも大隅先生お勧めの本らしいのだが、不覚にも知りませんでしたよ。...

2016年10月20日

「ロウソクの科学」絶賛品切中

 坊が理科の「水よう液の性質」の単元で少し苦労していた。説明してやるとすっきりした表情をしていたので、ついでに「『ロウソクの科学』を読んだらいいよ」と勧めておいた。...

2016年10月17日

「聞く力」(阿川佐和子、文春新書)

 だいぶ前にベストセラーになった本を、何を今さら、という感じだけど、読みました。いつもの自虐ネタも健在だけど、それ以上に面白いのが「失敗したと思ったけど、結果的にうまくいった」インタビューの話。...

2016年08月28日

「ひまわりの海」(舘野泉、求龍堂)

 家族で丸善名古屋店にお出かけ。やっぱり書店は楽しいね。  今回は芸術書のコーナーに行って、これを購入。  表紙のひまわりは、南仏の作曲家セヴラックの故郷、サン・フェリックス・ロウラゲという村の風景だそうだ。...

2016年04月18日

「暦と時間の歴史」(Holford-Strevens 著、正宗聡訳、丸善出版)

 「サイエンス・パレット」シリーズの1冊。何となく、天体観測などと関係のある内容なのかなと思って手に取ったが、内容は「思想史」あるいは「宗教(多くはキリスト教)の歴史」に近いものだった。...

2015年09月23日

「鹿男あをによし」(万城目学/幻冬舎文庫)

 古都奈良を舞台とした、壮大な歴史ファンタジー。いや、歴史ファンタジーというと少し違うかな? しかし、「長い年月の間守り続けられてきたもの」を描いている点では、...

2015年09月04日

「ペンギン・ハイウェイ」(森見登美彦/角川文庫)

 「四畳半神話体系」「聖なる怠け者の冒険」に次いで三冊目。今回の舞台は京都ではなく、(たぶん東京近郊の)新しい住宅地である。主人公のアオヤマ君はちょっと背伸びした小学四年生の男の子。...

2015年08月02日

「ねにもつタイプ」(岸本佐知子/ちくま文庫)

 岸本佐知子さんは翻訳家。実は岸本さんの翻訳した小説を読んだことがないため、このエッセイ集が初読である。エッセイ? 分類としては確かにエッセイなのだろうけど、一人称の短編小説のようでもあるし、...

2015年07月09日

「注文の多い注文書」(小川洋子、クラフト・エヴィング商會/筑摩書房)

 クラフト・エヴィング商會とは、吉田篤弘・吉田浩美両氏による制作ユニット。「ないもの、あります」という作品がある。本書は、小川洋子さんが繰り出す「ないものの注文書」五通に対して、...

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