イギリスの俳優ベネディクト・カンバーバッチが、「パレスチナとともに」というイベントで、パレスチナ詩人マフムード・ダルウィーシュの詩 "On this land there are reasons to live" を朗読したそうです。アルジャジーラのショート動画が公開されています。
いい声ですねえ。そして、素晴らしい詩です。アラブの人々の間では、「詩を朗読する」というのはとてもポピュラーな文化活動であるようです。ダルウィーシュの詩の多くに、古いアラブ詩人の名が頻繁に引用されています。おそらく詩文自体も引用されているのでしょう(一読しただけではわかりませんが)。詩がアラブ文化圏で長い歴史を持つ文学形態であることを窺わせます。
ダルウィーシュの詩集ですが、邦訳はこの本だけかな? 「パレスチナ詩集」(四方田犬彦訳、ちくま文庫)です。文庫本なのに税込1540円という価格にちょっと怯みますが、手元に置いておきたい本です。
カンバーバッジが朗読した詩は、10ページに「この大地にあって」という題名で収められています。
この大地にあってまだ生に値するもの。
本書10ページ
四月の躊躇い、夜明けのパンの匂い、女から見た男の品定め、アイスキュロスの作品、(後略)
英訳も手元にありました。"Unfortunately, It Was Paradise" (University of California Press) の中に、"On This Earth" として収録されています。
We have on this earth what makes life worth living: April's hesitation, the aroma of bread
本書6ページ
at dawn, a woman's point of view about men, the works of Aeschylus, ...
どちらの訳も、かなり美文調です。一方、カンバーバッチが朗読した英語訳は、平易な言葉でありつつ、リズミカルです。カンバーバッチが読んだ英語版の詩集を手に入れたいんだけど、出版されているのかな?

