ガザ地区におけるイスラエルの「蛮行」は、やむ気配がありません。以前に岡真里氏の「ガザとは何か」で勉強したのですが、やはり現在のイスラエルの行動は、私の理解を全く越えています。もう少し精度を高めないとだめだな、と思い、別の本を手に取りました。
イスラエル建国に至る事情は極めて複雑です。このような複雑な事象は、「わかりやすく、簡単に」してしまっては、本質を見誤ります。複雑なことは、複雑なまま受け止めるように努めなければならない。それを受け止められないのは、自分の知識・理解力・洞察力がまだ足りないからだ、ということになります。その点で、私にはこの問題を受け止める力がまだないな、と痛感しています。少しずつ進んでいくしかありません。
岡真里さんの本を読んだ時に、「イスラエルは、パレスチナ人に対する人種差別を基盤とするアパルトヘイト国家である」と認識したのですが、今思えばこれは単純化しすぎた見方であったようです。イスラエルの本質はユダヤ国家であることですが、そこには「ユダヤ民族の国家」であることと「ユダヤ教の国家」であることが共存しています。また、キリスト教を基盤とするヨーロッパ諸国において19世紀に反ユダヤ主義が激化したこと、その解決策としてユダヤ人はユダヤ人国家を持つべきであるとするユダヤ民族主義が「シオニズム」として結実したこと、シオニズムにはさまざまな潮流があり(本書39ページ)、立場を少しずつ異にしていること、等々、世界史に詳しい人には常識なのでしょうけれども、このあたりからちゃんと理解を深めていかないと、現状を理解することなど到底おぼつかないのは明らかです。まあ、そのことがわかった、というのが今回の収穫かなと思います。(なんか書いてて恥ずかしくなってきた)
本書は2009年の出版であり、また著者の臼杵陽氏はアラブ世界の研究者なので、本書は「2009年までの時点で、アラブ世界に足場を置く研究者が見たイスラエル像」ということになります。著者があとがきで述べられている通り、ヨーロッパやアメリカに視座を置いたイスラエル像についても学ぶことが必要です。
結局、現在のイスラエルの「蛮行」についての理解を深めるには至りませんでした。ガザ地区(およびヨルダン川西岸地区)のパレスチナ人を殲滅してそこにユダヤ国家を作りたい、とイスラエルが考えていることはわかったのですが、なんでそんなメチャクチャなことをイスラエルは平気で言えるのか、国際社会がそれに何も言えないのはなぜなのか、何をすればこの状況を動かせるのか、まだ何もわかりません。圧倒的な軍事力を持つイスラエルが好き放題するのは仕方がない、という思考停止には陥りたくないのです。世界がそちらの方向(力だけが正義である)に動きつつあることはわかっていますが、それを黙って見ていてはいけないだろう、と思っているのです。
