作曲家の間宮芳生さんが95歳で亡くなりました。この世代の作曲家で存命だった方はもう少なくなっていたのではないでしょうか。
間宮さんは作曲家として「派手な」活躍をされていたわけではないのですが、地道にこつこつと作品を作り続けておられた印象があります。私が好きなのはヴァイオリン協奏曲第1番 (1959)。
東北地方の民謡を題材とした作品、とよく紹介されていますが、民族主義的な色が濃いのは第3楽章だけで、他の3つの楽章では民族主義的な要素はほぼ完全に昇華されているように感じます。間宮さん自身も、「日本語をその言語生活の根に密着したところで、音楽化する」試みを続ける中で、「他の要求が私の中にあることを見出した結果」がこの作品である、と述べられています(出典:日本フィルハーモニー交響楽団「9月東京定期演奏会 間宮芳生「ヴァイオリン協奏曲」をめぐって」2019/08/09)。
間宮さんは、吹奏楽コンクールの課題曲もいくつか提供されています。「ベリーを摘んだらダンスにしよう」は名曲です。上記のヴァイオリン協奏曲もそうなんだけど、間宮さんは木管楽器の使い方がとてもうまい。吹奏楽のオリジナル曲って、このジャンル特有の独特の匂いがあるんだけど、この作品はそういう流れには全く属していません。
民族主義の流れを汲む音楽、というと、泥臭さのイメージがあるかもしれませんが、間宮さんの作品はそういう流れとも一線を画しています。私には「気品のある音楽」のイメージがとても強いです。もっと間宮作品を深く知っている人は、また違う印象を持たれるのかもしれませんけど。
間宮さんの Wikipedia ページ、内容は薄いんですが、谷川雁さんらとともに「ラボ教育センター」に関わっておられたことがちゃんと紹介されています。ラボ教育センターの教材CDのいくつかに間宮さんが曲を提供されているんですが、気品のある音楽で、私は大好きです。「しょうぼうじどうしゃ じぷた」のオープニングがこんな感じでした。話の内容からして、ちょこまかした感じとかちょっと勇ましい感じの音楽をつけたくなるじゃないですか。でも違うんですよね。5小節目でハ長調に転調するところが素敵です。
記憶に頼って採譜しているので、いろいろ間違ってるかもしれません。