こういう話、定期的に話題になりますよね。
都会と地方(イオンや主要駅まで30分圏内を指す)を比べた時の「何もない」はなんなのか?って話、大体「都内には美術展や観劇がある」が強カードになりがちだけど都のX民皆が皆日頃から美術展や観劇巡りをしてるわけでもなく、そこには何があるんだろうな
— 笑顔のTシャツ (@AtoOnoT) April 20, 2024
私も美術展や観劇はカードになりません。音楽のコンサートはまあまあ強カードだけど、大阪や京都に住んでた時もあまり行ってなかった(東京なら多少は行ったかも)。私が少年〜学生時代を大阪・京都で過ごした時に最強カードだったのは、自力で気軽に行ける範囲内にヤマハミュージックサロン(梅田第1ビル、その後閉鎖)、ササヤ書店、心斎橋ヤマハという気合の入った楽譜専門店があったことです。
最初に洋書スコアを買ったのは梅田のヤマハでした。その前に阪神百貨店の楽書売り場に行ったら、日本の出版社のスコアは少し置いてあったんだけど、洋書スコアはありませんか?と店員さんに聞いたところ、梅田のヤマハとササヤ書店を教えてくれたのです。今から思うと、百貨店の店員さんの紹介としてはかなり異例だと思う。音大出身者だったのかな? ササヤ書店で、マーラーの交響曲6・7番(Eulenburg版)のスコアの取り寄せを依頼して、父に受け取ってきてもらった。中学2年ぐらいの時だった。
自力で店に行って買ったのは、ムソルグスキー/ラヴェルの「展覧会の絵」(Boosey & Hawkes)が最初です。その後、ホルストの「惑星」とかストラヴィンスキーの「春の祭典」などの定番ものから、一時期ハマったバルトーク(生誕100年のときだと思う。FMで毎週のように放送してた)のスコアなど。クセナキスの「ペルセファッサ」とかベルクの「ヴォツェック」(全曲版フルスコア)も取り寄せで買ったな。あと、買わなくても棚は一通り見ていたので、ツィンメルマンの「兵士たち」みたいな特殊な作品も、この頃(中高生)から存在だけは知ってました(めちゃくちゃ分厚くて目を引いたし、売れないためいつ行っても置いてあったから)。この時の蓄積があったから、大学で吹奏楽部に入っても先輩たちの難しい議論についていけたし、居場所を確保できた。当時、人間関係の構築が絶望的にヘタだったので、これがあったのは大きかったです。そういうマニアックな知識を受け入れてくれる仲間にも恵まれたわけですが。
その後 Nifty-serve の FMIDICLA に参加した時も、この蓄積は効きましたね。もちろんその筋のプロがごろごろいらっしゃる環境だったので、あくまでも「素人」としての立ち位置ですが、居場所は作れました。京都を離れた後、岡崎・名古屋と移り住んだのですが、ずっと岡崎とか名古屋で生まれ育っていたら、こうはならんかっただろうな……とは思います。(名古屋近辺には県芸・名古屋音大があるし、公立の音楽高校が2つもあるので、気合の入った楽譜屋さんはどこかにあるのかもしれませんが、まだ探せていません。)
なお、地方のそこそこ大きな都市を訪問する時は、時間があればその都市の楽譜屋さんを探して立ち寄っています。けっこう強いなと思ったのは仙台と浜松でした。浜松はまあ当然かな。東京のアカデミアミュージックと、大阪のササヤ書店に匹敵するお店は、なかなかないようです。