2025年01月03日

「自分で考える勇気:カント哲学入門」(御子柴善之著、岩波ジュニア新書)

 年末年始の休暇で読んだ本です。

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 人間や社会について深掘りするような本を読むと、よく「カントは……」という記述が出てきます。よほど偉い人なのだな、ということはわかるのですが、果たしてカントが何を言ったのか、なかなかイメージできないのです。むかーし高校社会で「倫理」を勉強した時、基本知識として「パスカル=考える葦、デカルト=我思うゆえに我あり、ホッブズ=万人の万人に対する闘争、ヘーゲル=アウフヘーベン」みたいなアンチョコをまず覚えるじゃないですか。その中で、カントだけ、そういう「分かりやすい」売り文句がなかった気がするのです(あまり真面目に勉強してなかったことがバレてますが)。

 岩波ジュニア新書だから、なんとかついていけるだろう、と思ったのですが、やっぱり難しかった。「ア・プリオリな(経験に依存しない)認識とア・ポステリオリな(経験に依存する)認識」の区別はまだわかる(本書44ページ)。しかし、「認識を『形式』と『内容』に区別して、『形式』の方にア・プリオリなものを見出すことによって、認識の普遍性を確保する」というあたりから、だんだんわからなくなってきます(本書47〜48ページ)。さらに、「意志の自由」について、「『現象の世界』と『物それ自体の世界』とを区別することで、自由を救出できる」というあたりは、もはやお手上げです(本書69ページ)。

 どこがわからないのだろう、と自省してみると、どうも「分ける=区別する=(カントの言う)批判」という考え方が、自分の中であやふやなんだろうな、と感じます。また、「認識」、「形式」、「内容」という言葉の意味も、日常語としての意味とは少し違っていて、もっと厳密にとらえないといけないようです。

 カントの主張は「理想主義」的に過ぎるのかもしれませんが、現実がどうあれ「理想を追求する」というのは大事なことだし、その「理想」が単なるふわふわした「お気持ち」的なものではなくて、明確に体系づけられたものであることは重要です。そういう意味で、「よくわからなかった」で済ませるのではなくて、カントの思想をもう少しちゃんと理解できるようになりたいと思っています。本書だけじゃなくて、別の解説書も平行して読んでみた方がいいのかも知れません。

タグ:読書
Posted at 2025年01月03日 10:56:01
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