2016年05月02日

給付型奨学金

 最近、給付型の奨学金についての議論が盛んになっている。昨日も、文科省のプロジェクトチームで座長を務める義家副大臣のインタビューが新聞に載っていた。そのインタビューの中で、「給付型という形ではなく、ある条件を満たせば返還を免除するという形も考えられる」という主旨の発言があった。これは確かに検討に値すると思う。

 かつて、日本育英会の奨学金には、「教育職に一定期間以上在職すれば返還免除」という制度があった。この制度は、現在ではその意義が薄れたとして廃止されている。これを現在に復活させるとすると、若い人材の確保が求められている職種について、一定期間在職すれば返還を免除する、という制度が考えられる。

 この制度を立ち上げるとして、大きな問題は、「どの職種に適用するか」と「原資をどうするか」の2点である。これを国がコントロールしようとすると、官庁の縦割り構造と政治的駆け引きに翻弄されて、訳のわからないことになることは目に見えている。だとしたら、民間からの寄付を原資にすればいいんじゃないか。寄付金を税控除の対象にして、実質的に大部分の金額が戻ってくるような仕組みにすれば、それなりの金額が集まるのではないか。

 たとえば、「あしなが育英会」には現状で年間13億円の寄付が集まっているという。同会は税控除の対象になっていないが(そういうポリシーだと聞いたことがある)、それでも関係者の努力によってこれだけの寄付を集めることができている。税控除によって後押しされれば、奨学金の原資としての寄付金をもっと広く集めることができるだろう。今、タックスヘイブンを利用して節税に奔走しているお金持ちの人たちの中にも、「何に使われるかわからない税金を払うのは嫌だが、将来の人材育成に使われるとはっきりしているのなら払ってもいい」と考える人が出てくるのではないか。自分にはお金持ちの気持ちはわからないので何とも言えないけど。

 夏に選挙があるが、こういう提案をする候補者がいるなら、ぜひ一票を投じたいと思う。立候補予定の諸氏は検討しておくように。(←偉そうに言ってみる。選挙前「だけ」は選挙民の方が偉いからね)

タグ:社会
Posted at 2016年05月02日 00:41:31
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