2023年12月23日

映画「窓ぎわのトットちゃん」

 自分の観測範囲でえらい評判なので、見てきました。

 「家庭環境に恵まれた少女の日常が、戦争に浸食されていく」という視点で語っている人が多いように思うのですが、私が一番印象に残ったのは、「トモエ学園」という小学校の存在ですね。原作を未読なため、トモエ学園についてはほとんど知識がなかった。戦前にこのような教育を行っていた小学校が現存していた、という事実に非常に驚きました。

 そして、障害を持つ「泰明ちゃん」とトットちゃんとの関係に多くの尺が割かれています。ここにフォーカスすることで、インクルーシブな社会の素晴らしさと、それを容認しない戦時の価値観との対立が、鋭く描かれています。終盤で、トットちゃんが長く走り続けるシーン、その周りでいろいろな光景が描かれるのですが、ここは間違いなく本作のハイライトシーンです。まだ見終わったばかりで、消化しきれていません。時間をおいて、もう一度見てみる必要がありそうです。

 黒柳徹子さんがご健在のうちに、この企画が完成したのは、実に意義あることだと思います。映画の最初と最後に出てくる肉声のナレーションには、大きな重みがあります。この作品を見てよかったし、作ってくれてありがとう、という気持ちです。

タグ:映画
Posted at 2023年12月23日 20:16:21
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