2013年02月14日

とりせつ・あけおめ・さくえち・だふくろ

 先日帰宅したら、食事をしていたヒメにいきなり「お父さん、取り扱い説明書のこと『とりせつ』って言う?」と聞かれた。言うよ、と答えると「えーそんなの聞いたことない」と言う。そりゃあんたは「とりせつ」なんて読んだことないやろし聞いたこともないやろ。「『あけおめ』とか『めりくり』はだめって言ったじゃん」「はあ、まあそりゃ使わん方がええやろな」「でもそういう省略みんな使ってるよ」…確かにそうなんだよな。これはもう日本語の一般的な慣習だと考えざるを得ませんね。

 われわれの業界でも、試薬の名前を4文字で省略することはたいへん多い。「さくえち」(酢酸エチル)、「めちあい」(メチルアイオダイド=ヨウ化メチル)、「ぼろはい」(ボロハイドライド=水素化ホウ素ナトリウム。「そじぼろ」とも)、塩化メチレンに至っては「えんめち」「めちくろ」(メチレンクロライドより)、「じくろめ」「じくろろ」(ジクロロメタンより)、とうちで使っている呼び名だけでも4種類もある。学生時代に報告会でこういうのをうっかり使うと教授にえらい怒られたけど。

 音楽でもしかり。「ダフニスとクロエ」を「ダフクロ」と呼ぶのはかっこわるい、と力説している人がいたけど、そういうご高説をうかがうと反発してわざわざ「ペレメリ」とか「ロメジュリ」とか言ってやりたくなるのは性格が悪いな。「バッカスとアリアーヌ」はどう言うんだろう。「バカアリ」?

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Posted at 2013年02月14日 00:39:22
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