2026年03月22日

「それでも日本に原発は必要なのか?」(青木美希著、文春新書)

 原発についての問題提起を続けておられる「全国紙」記者、青木氏による近著です。

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 この帯を見ると、えらく挑発的・扇動的なイメージを受けますが、内容は全くそうではなく、取材した事実を淡々と記述してあります。青木氏が参画された「プロメテウスの罠」では、重要な事実を明らかにしつつも、情緒的な記述が目立ち、私はかなり苦手意識を持ったのですが、本書にはそういう要素はほとんどありません。

 原発推進派の人への取材はなかなかできなかったようです。おそらく、青木氏自身が鮮明に「反原発」の立場なので、推進派の人は取材に応じてくれないのでしょう。わずかに推進派の人の肉声が示されたのは、青木氏が「原発回帰」を決めたイタリアに取材に行った時の様子です。

ウルソ大臣へ質問するために私は何度も挙手したが、当ててもらえない。仕方なく、「ぶらさがり取材」を試みた。

——地震の多いイタリアで、なぜ原発をすすめるのですか?

「私たちは、原子力が絶対に不可欠だと考えています。(中略)SMR(引用者注:小型モジュール炉)という将来の技術と共に組み合わせることが絶対に不可欠です。なぜなら、私たちは自らの自由を保障したいからです」

——地震が多い国でもですか?

「科学と技術は存在します。そして科学技術があれば、どこが安全な場所かを理解することができます。私は科学技術を信頼しています」

そう言って、足早に去っていった。

本書128-129ページ

 日本の推進派の人々も、だいたいこれと同じようなご意見なのではないかな、と推測します。しかしながら、(ここからは本書の主張ではなく私の考えですが)、SMRが仮に実用化されたとしても、核物質拡散への懸念と、使用済み核燃料の行き場の問題は何も解決していません。特に、国土の狭い日本では、使用済み核燃料の行き場は深刻な問題です。この問題を、推進派の人はどのように考えているのでしょうか。本書には、なんともすさまじい証言が紹介されています。

2004年、ある官僚が自民党の重鎮だった与謝野馨氏に「核燃料サイクルには膨大な国民負担が生じるため、一度立ち止まるべきだ」と話をしに行ったという。(中略)すると与謝野氏はこう答えたという。

「君たちの言っていることは、全部正しい。ただね、原子力っていうのは『神話』なんだ。核燃料サイクル施設が動く動くと言って、目の前のトイレなきマンションをぽーんと30年先まで蹴り出すことができるんだ。再処理がまともに動くなんて、誰も思っていないよ。そんなこと俺もわかってるよ」

本書206ページ

 いやこれ、本当ですか?! 伝聞に伝聞を重ねているから、真偽は不明です。でも、与謝野氏が上のように語ったかどうかはともかくとして、現実はまったくこの通りに動いています。青木氏が下のように書く通り、放射性廃棄物の問題は「無限に先送りしている」だけなのです。

廃棄物はいつかリサイクルできるようになる、処理場もできるというのは幻想であり、砂漠の逃げ水のように果てしなく先延ばしになっている。

本書207ページ

 また、先のイタリア・ウルソ大臣の発言にあった「科学技術があればどこが安全な場所かを理解することができる」というのは原理的には正しいのですが、(イタリアは知らず)日本で現実に起きていることは、「どこに原発を立地するか」が先に政治的な事情で決定され、「科学技術」はそれを公衆に追認させるためにのみ利用されている、という現象です。「科学技術への信頼」は、科学が政治・経済から完全に独立している場合にのみ担保されます。本当に国の将来を熟慮する政治家ならば、「科学の独立性」を守り、「科学技術への信頼」が担保されるよう尽力するでしょうが、現在の日本の政治家に、そのような気概のある人はどうも見当たりません。政治・経済から完全に独立して、純粋な科学技術として原発を評価したとき、果たして「推進する」という答えは出てくるのでしょうか?

 本書第6章「原発回帰 権力の舞台裏」には、大手電力会社がどのように政治家と手を組んで、原発推進を進めてきたかが描かれています。私としては、なぜ、電力会社がそこまでして原発を推進したいのか、ということに次の関心が向きます。日本のあらゆる巨大プロジェクトに共通する「いったん始めたことをやめられない」という宿痾はあるのでしょうけど、それだけなのでしょうか。この仕組みを理解していかないと、政治決定はいつまでも「大手電力会社の意向=原発推進」に沿ったものであり続け、原発ゼロへの方向転換は難しいように思います。

タグ:読書 社会
Posted at 2026年03月22日 14:28:02

2026年03月20日

「世界でくらすクルドの人たち」(金井真紀文・絵、福音館書店)

 月刊「たくさんのふしぎ」2026年3月号です。クルドの人たちが新年を祝う「ネウロズ」というお祭りについて、世界各地のクルドの人たちに取材して紹介したものです。

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 クルドの人たちは、立春の日を新年として祝うそうです。著者の金井さんは、さいたま市でのネウロズのお祭りから始めて、世界各地のネウロズの様子を描いています。実際に行った国もあり、ビデオ通話でのインタビューで構成した部分もあります。

 この本、ヨドバシの通販では「クルドのドレス」という書名になっています。これは間違いだけど、もともとこの題が想定されていたのかもな、とも思いました。それぐらい、ドレスの話が多いです。まあ、絵が中心の本だしね。

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 さりげなく、重い話も入っています。そもそも、クルド人が中東の広い地域に居住していて独立の国を持たないこと、それぞれの国でマイノリティとして迫害を受けてきたことも、手短に説明されています。本書に登場するクルド人のムラドさんは、イラクのクルド人反政府勢力の子供として生まれ、イギリスに密航して難民認定を受けた、という経歴を持っているそうです。一見、お祭りの華やかで楽しい面だけを描いているような本書ですが、その背景に何があるのかを知ってほしい、という著者の願いは、きちんと読めば伝わってきます。

 巻末の「作者のことば」にある、次の一節をきちんと受け止めたいですね。

でもいろんな場所でいろんなクルド人に会ってみて、わたしがしみじみ思うのは「クルド人は、こういう人だ」とひとくくりにはできないってことです。

本書巻末「ふしぎ新聞」8ページ

 「たくさんのふしぎ」は、「小学校中学年から」が対象の雑誌ですが、「小学校中学年から大人まで」と表記したいですね。うちでは毎月定期購読しています。もちろん、当たり外れ・好みに合う合わないはあるのですが、福音館書店は頑張っていると思います。日本中の小学校の図書室に置いてほしいものです。

タグ:読書
Posted at 2026年03月20日 22:35:36

2026年03月15日

木たち・野菜たち・花たち

 冬の間にナツミカンを強剪定しました。太い枝をかなり整理しました。今は新しい芽がどんどん出ています。古い葉の表面に黒い汚れがべっとりついていて、病気になったのかな?と心配していたのですが、洗い落としたら何ともなさそうです。秋から冬にかけて水撒きをほとんどしていなかったので、汚れが残ったもののようです。ちゃんと葉に水をかけてやらないといけませんね。

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 実は 2/22 に収穫しました。少し前に1個落ちていたので、全部で8個収穫です。50個以上できたこともあるので、現状では木の実力を十分に発揮できてません。いろいろ工夫が必要です。

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 ウメは、花が終わって、葉芽が伸びてきているところです。花が終わったタイミングで、長く伸びた枝を切り詰めました。実もついています。「花も実も楽しむ」方向でお世話をしていきたい。

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 プランターのかつお菜は、トウが立って花が咲きそうです。収穫は終わりですね。一応タネ採りにも挑戦してみようかな。

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 ルッコラも同様です。この冬のプランター栽培は大成功で、かつお菜もルッコラも春菊も大活躍しました。えっ、ネギ? ああ、そういえば植えてたな……(苦笑)

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 次に植える予定のミニトマトですが、採種したタネから発芽しました! 左2ポットがプランター由来、右2ポットが地植え由来のタネです。地植え由来の方がよく育っています。プランターは栄養状態がよくなかったからなあ。でも、芽を出してしまえばたぶんあまり関係ないので、両方1株ずつ植える予定です。

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 スナップエンドウは順調です。花がたくさん咲いて、実も出来始めています。もうじき収穫が始められそうです。

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 タアサイは、大きくなる前にトウ立ちが始まってしまいました。まあ、菜の花としていただくことはできそうです。ちょっとタネまきのタイミングが遅かったんだろうな。

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 春の野草は、ホトケノザ・オオイヌノフグリ・カラスノエンドウ・ヤエムグラといつものメンツですが、この子は今まであまり見かけませんでした。アレチゼリかな?

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 ユスラウメにいい感じでつぼみがついています。ただ、一番左の枝には1個もつぼみがついていません。どうしたことでしょうか。けっこう強剪定したので、その影響が出たのかな。

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 花壇の様子です。ストックは1本枯れてしまいましたが、他の株は元気です。根元に土寄せをしておきました。パンジーはなかなか花が増えなかったのですが、暖かくなってやっと本気を出し始めたようです。

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タグ:園芸
Posted at 2026年03月15日 17:06:17
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