QSampler を使ってみる

(2007/08/16)

 実は4月に「CVSスナップショットからのビルド(コマンドライン編Xcode編)を書いてからいろいろな変化があって、上記の記事はそのままでは役に立たなくなってしまった。もうじき LinuxSampler の新しいリリースが出るようなので、その後で改訂版を出そうと思っています。

 さて、ピアノ曲のレコーディングをやってみて、PowerBook G4 1.5GHz/80GB HDD/1.25GB Memory というスペックのマシンで LinuxSampler はけっこうまともに使えることがわかった。しかし、毎回 Terminal を開いて telnet でコマンドを打ち込むのはさすがにちょっとつらい。なんとか GUI でできるようにならないものかな、と思い、LinuxSampler プロジェクトの一部である QSampler を試してみた。いろいろ紆余曲折の末、なんとか使えるようになったので、報告しておきます。

1. 準備

 Mac OS X 用にビルドした QSampler のバイナリを下に置いておく。残念ながら PPC only なので、Intel な人は Rosetta で実行してください。(実行できるかどうかは未確認。誰かが Intel Mac を寄付してくれたらテストしてもいいけど(笑)

QSampler 0.1.4.4 実行ファイル (Mac OS 10.3/10.4 用 (PowerPC), 4.2 MB, dmg) ←古くなったので削除しました

 また、JackOSX と LinuxSampler バイナリは「音を鳴らす(その2)」と同じように準備しておく。

2. 使い方

 まず JackPilot (JackOSX の一部) を使って Jack サーバを走らせておいたあと、QSampler をダブルクリックして立ち上げる。最初、LinuxSampler 本体を起動しようとするが、1回目は失敗してエラーメッセージが出るはず。そこで、View -> Options メニューコマンドを選んで、下のように LinuxSampler バイナリのフルパスを教えてやる。この作業は最初の1回だけでよい。

 LinuxSampler の起動に成功すると、メインウィンドウが出てくる。Edit -> Add Channel メニューコマンドで、新しいチャンネルを作る。下図は木管四重奏のために4つチャンネルを作ったところ。「Mute」「Solo」のボタンの表示が切れてますが、まあクロスプラットフォームのアプリではよくあることなので目をつぶりましょう。

 ここで一度 JackPilot に戻って、LinuxSampler と Built-in Audio を接続しておく。これを忘れると音が出ない。何となく二度手間でイマイチなのだが、今のところはしょうがない。QSampler を立ち上げるだけで全部面倒を見てくれるのが一番いいのだが、そうすると JackPilot 相当の機能を QSampler に組み込むことになってしまって、それはそれで問題がある。もう少しスマートな方法があるといいんだけどな。

 使ってみると、さすがに GUI の効果は絶大で、「音楽制作をしている」という雰囲気が少しだけ漂ってきた(笑)。しかし、top コマンドで負荷を見てみると QSampler だけで 10% ぐらい使ってしまっている。LinuxSampler の素敵なところは、GUI なしでも使えるように設計されている点だろう。どうしても負荷を減らしたい時は、Terminal からコマンドを直接投入するという手段が残されている。これはとても正しい設計だと思う。

 例によってこっそりと作品を公開。この MIDI ファイルも昔 Nifty/FMIDICLA で発表したものだが、今回は Alchemusica で少し手を入れた。

 なお、音ネタは、Vitous Miroslav をテスト用に貸してもらって使いました。実は Prosonus(これは買った)を使って鳴らしてみたのだが、とても聞けたものではなかった。Vitous はさすがにいい音をしているけど、僕の DTM スタイルに合わせようと思うといろいろ手を入れる必要はありそうではある。実は今回使っている音は木管セクションの音で、ソロの音ではない。木管四重奏としては違和感ありまくりなのだが、音ネタの編集ができるようになったらまた作り直すつもり。

 LinuxSampler プロジェクトの gigedit も手元では一応動いているのだが、いろいろ挙動不審な点が多い。まだバージョン 0.0.3 だし、こちらも gig ファイルの編集自体に慣れてないので、もう少し待った方がよさそう。

 音ネタは何をメインにしようか迷っています。マシンが非力なので Vienna みたいな重そうなネタは敬遠したく(お財布にも重いしね)、昔ハードウェアサンプラーの時代に定評があった Vitous とか Advanced Orchestra とかがちょうどいいんじゃないかと思っているところ。しかし両方買うと高いね。しばらくマシンの更新はできなくなってしまうな。Garritan Personal Orchestra と MOTU Symphonic Orchestra は、絶賛の声がある一方、「値段の割には健闘している」という微妙な評価をしている人もいるので、どうしようかと思案中。