2021年08月11日

Garritan Personal Orchestra 5 を買った

 久しぶりの DTM ネタ。Garritan Personal Orchestra 5 (GPO5) を買いました。

20210810-1.jpg

 Garritan は、最高峰のオケ音源ではないけど、「軽くてそこそこ使える総合オーケストラ音源」だと思っている。ノートパソコン1台でフルオケを完結させるつもりなので、あんまり高級で動作が重いやつは困る。吹奏楽の音源 Garritan Concert and Marching Band もそういう位置付けだった。私はもともと「リアルな音」を追求する気はあまりないので、そこそこ「それっぽく」鳴ってくれれば十分なのです。ただ、クラシックのオーケストラ曲では、各パートに要求される「表現の幅」がすごく大きいので、そこにどれだけ対応してくれるかが焦点になります。

 今回やりたいのは、ヒナステラの「協奏的変奏曲」(Variaciones Concertantes) です。いきなり冒頭から、超目立つチェロのソロで始まります。Sound Canvas とかではちょっと無理な曲です。

20210810-2.jpg

引用は Boosey & Hawkes (HPS722) から

 "Cello 1 Solo KS" という音色を使ってみる。"KS" はキースイッチのことで、特定のキーを押すことで音色を切り替えられる。この音色では下の12種類で、あまり特殊な奏法はない。トリルの音色は、ノートオフと同時に半音または全音ずれるようになっていて、これはなかなか面白い。

Sus + short, Sus + short mutes, Auto alternate, Upbows, Downbows, Pizzicato, Tremolo mutes, Tremolo, 1/2 step trills mutes, 1/2 step trills, Whole step trills mutes, Whole step trills

 リアルタイム MIDI コントロールは、次のように実装されている(マニュアルに書かれている)。音色によって、実装されているコントロールが異なるので、使いたい音色について一つ一つ実験してみる必要がある。基本的には、GUIの "Controls" で表示されるものが実装されている、という理解でよいみたい。

  • CC#1 (modulation wheel), #2 (breath control), #11 (expression): 持続系音の音量・音色コントロール。どの CC を使っても効果は同じ。
  • ノートヴェロシティ:持続系音ではアタックの強さ(音量はコントロールしない)。打撃系音ではアタックと同時に音量・音色も変化する。ここは SC 系の音源とは動作が違うので要注意。
  • CC#64 (sustain pedel): 管楽器・弦楽器では、レガートモードをオンにする。レガートモードは、音のアタック(管楽器はタンギング、弦楽器は弓の入り)をなくすことで実装する。モノモード(同時発音数を1にする)は自動的にはオンにならない。いくつかの減衰系の楽器(ハープ、チェレスタ、トライアングル)では、音をダンプするのに使う。
  • CC#22, #23 (automatic variability): #22 はピッチ、#23 は音色をランダムに変化させる。これは使いどころが難しいけど、同音が続く時に使える?
  • CC#20 (portamento): 2つの音をグリッサンドで移行させる。レガートモードのときのみ有効らしい。グリッサンドで移行する時間を指定するので、大きな値にするほどゆっくり移行する。ポルタメントモードは、使いこなすのが非常に難しい。たぶん CC#1 と併用して音量調整もしないと、非常に不自然に聞こえてしまう。
  • CC#21 (length): リリースの時間を調節する。スタッカートの音では短くすると歯切れが良くなる。デフォルト値は 64 なのかな。
  • CC#17 (vibrato): ビブラートの速さを調節する。サンプル自体にビブラートが入っている場合は当然実装されていない。実装されているのは、管楽器の「ノン・ビブラート」(NV) 系の音色のようです(未確認)。
  • CC#19 (pitchbend cancel): ピッチベンドに応答しないようにする。2つの音をピッチベンドで滑らかに移行させる時、一方の音だけにピッチベンドをかけたいことはよくあるので、それを実現するためのもの。今までトラックを分けたりして苦労してたから、この機能はぜひ使ってみたい。
  • CC#15 (trill width): トリルの幅を半音から長三度まで設定できる。マニュアルの説明がややわかりづらいけど、ソロ弦のキースイッチ音色の #G, A スイッチ(1/2 step trills mutes と 1/2 step trills)限定の機能らしい。
  • CC#16 (saturation, brightness): 「AG (aggressive)」とラベルされた音色について、音色をより明るく・激しくする。
  • CC#74 (tone): 高周波成分をカットする。Solo Cello KS には実装されていないみたい。
  • CC#71 (mute): ミュート音にスイッチする。これも Solo Cello KS には実装されていないみたい。
  • ADSR エンベロープ: CC#73 (attack), CC#75 (decay), CC#70 (sustain), CC#72 (release)

 主題 "1. Tema per Violoncello ed Arpa" を頑張って作ってみました。ピッチベンドが全音分しかないのはなんとかしないといけないけど、その他はデフォルトでもかなり使えそうな感触です。

20210810-3.jpg

 せっかくの表現力なので、各パートをなるべく丁寧に作っていきたいけど、時間かかりそうだな。まあ、締め切りがあるわけじゃないので、気長にいきます。

タグ:DTM 音楽
Posted at 2021年08月11日 19:33:12
email.png