ようやく政府から「追加経済対策」の声が出てきましたが、いつ、誰に向けてやるのですか。それが問題です。
菅義偉首相は緊急事態宣言の拡大など新型コロナウイルスの感染防止策の強化に合わせ、国民生活を下支えする追加経済対策の取りまとめを近く政府・自民党に指示する方針です。https://t.co/tYzT8n5Fxr
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) July 29, 2021
現政権には多くの問題点がありますが、その一つが「不透明な形で特定の人に便宜を図っている」ことです。これは前の安倍政権の時から継承されていた問題点です。コロナ対策と称して、和牛券や鮮魚券(これは潰れた)、マスク配布、GoToキャンペーンなど、枚挙に暇がありません。これらの政策は、内容自体にも問題がありましたが、政府のあり方としては「不透明な形で便宜を図っている」点が最も大きな問題だと考えます。
政府の政策の中には、詳細を語ることが適切でないものも当然ありますが(国防に関する意思決定など)、上記の政策はそのようなものではありません。むしろ、全国民が傷つき苦しんでいる状況で、なるべく多くの人が納得できるように、説明を尽くした上で、進めるべきであったでしょう。
安倍政権・菅政権を通して、疑問が呈された政治判断は種々ありましたが、それに対して「適切な説明があった」と感じたことは私は一度もありません。ただの一度もです。いつも、「都合の悪いことがあるから誤魔化しているのではないか」と疑念が膨らむばかりでした。
仮に、大型の経済政策を衆議院選挙の公約に掲げられたとしても、今までと同じように、「不透明な形で特定の人だけが潤う」ような結果になるのであれば、それを受け入れることはできません。とにかく、意思決定に至った経緯をできる限り公開して、あらゆる人からの議論・批判に耐えるものにしていく、という覚悟を見せてもらわなければなりません。その覚悟のない政治家は、退場すべきです。
こういうことを言うと、与党を支持する方から「野党に批判の機会を与えると、つまらない揚げ足取りばかりやるから、全然政策が進まない」という反論が出てきそうです。確かに、野党の批判にはつまらない揚げ足取りが多いとは感じます。でも、それに対して適切な反論で納得させることは、政権与党の責任です。実施する立場の与党が適切な説明を怠っているから、揚げ足取りのような反論で議論が空転してしまうのです。
最初の話に戻りますが、その経済対策は「いつ」「誰に向けて」やるのですか。まず、原案を出してください。そして、それを元に、よりよい形で実施すべく、正面からの議論をやってください。利害調整はもちろん必要でしょうが、国会で内容のある議論をすれば、今多くの国民が感じている「不公平感」はずいぶん軽減されるはずです。
秋の衆議院選挙では、「誤魔化さないで議論する」ことを公約の一番に持ってくる政治家を選びたいと思っています。