2021年07月18日

NHKプレミアムシアター:ピアソラ「バンドネオン協奏曲」ほか

 7/11放送分だったのですが、23:20 開始の番組はリアルタイムでは見られません。録画もし損ねたので、NHK オンデマンドで 220 円払って見ました。演奏はN響、指揮は原田慶太楼さん。この方の指揮を見るのは初めてです。

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 1曲目の「弦楽オーケストラと打楽器のための協奏曲」(グアルニエーリ)は珍しい曲です。曲名から見ると打楽器が主役のように見えるけど、普通のオーケストラの打楽器の使い方を越えるものではない。使っている楽器も、ほぼティンパニ・小太鼓(弦ありと弦なし)だけだったんじゃないかな。「弦楽器と打楽器のオーケストラのための協奏曲」と呼ぶのが正しいでしょう。曲は、はっきり言って面白くなかった。演奏もいまひとつで、弦セクションの音の立ち上がりが、あんまりキレてない。音はきれいなんだけど、パンチを感じないんです。

 2曲目の「バンドネオン協奏曲『アコンカグア』」(ピアソラ、Bdn. 三浦一馬)は素晴らしかった。ピアソラの音楽は、転調が絶妙で、独特の色彩感があるんですよね。三浦さんのバンドネオン演奏は、派手さはないけど、想いを内に秘めている趣があります。第2楽章の終わりあたりだったか、ピアノ高音とバンドネオンが軽やかなフレーズを掛け合う場面がとても美しかった。

 3曲目の「交響的変奏曲」(ヒナステラ)。この曲がお目当てだったんだけど、やや期待外れだったな。失礼だけど、楽員の人たちがあまり気乗りしてない感じがした。小編成の弦+木管(2+1+2+1)+金管(2+1+1)+ハープ+ティンパニで、すべての楽器にソロが出てくるので、真剣に取り組んだら面白い曲だと思うんだけどなあ。一番気迫を感じたのはヴィオラのソロでした。ヴィオラさん、普段はぜんぜん目立たない役柄だし、ヴィオラジョークでいじられたりするばかりだから、ここぞとばかりに力をこめたんじゃないかな。演奏後のソリスト紹介でも、一番拍手が多かった気がします。

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引用は Boosey & Hawkes (HPS722) から

 メインは「三角帽子第1部」(ファリャ)。これはみなさん力が入ってましたね。この曲は、バレエ音楽からの抜粋らしく、曲想がころころ変わるのだけど、ちゃんとまとまっていました。全体的に、ちょっと大人しい感じはしましたけどね。下のような、いかにも「ファンダンゴ〜」ってところは、大げさなアゴーギクがあってもいいんじゃないかと思った。"pochiss. rit."(ほんの少しリタルダンド)って書いてあるけど、節操無く粘りたくなりません?

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タグ:音楽
Posted at 2021年07月18日 16:39:56
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