2020年01月30日

愛知県の高校入試制度についての検討

 今朝の NHK 東海ニュース。「愛知「複合選抜」のあり方検討へ」と報道されていた。

愛知県の公立高校の一般入試は、1人で2回の試験を受けられる「複合選抜」という全国でほかに例がない制度で行われていますが、愛知県教育委員会は、今後の見直しも視野に、入試制度のあり方を検討したいとしています。

(中略)愛知県教育委員会は、30日、専門家や教員などが参加する入試制度に関する会議に意見を求めることにしていて、制度の見直しも視野に、今後、慎重に議論を進める方針です。

NHK 東海ニュース Web より (2020年1月30日)

 「複合選抜」制度とは、公立高校の試験を2回行うことで、2校を併願できる制度です。2回試験があるので、合格のチャンスがより広がる一方で、制度が非常に複雑で、試験実施の負担も大きい、というデメリットがある。

 2人の子供を愛知県で高校受験させて(1人は真っ最中だけど)、いろいろ感じるところがあった。特に強く感じているのは、以下の2点。

  • 内申点の比重が重すぎる。内申点90点満点、学力試験110点満点ですよ。2つの重みは学校によって異なるが、学力重視の学校でも学力試験を 1.5 倍にするだけ、つまり内申点 90点、学力試験 165点。これがまずいのは、内申点に「客観的な基準が存在しない」こと。1人の教員の主観的判断が、これだけの重みを持って合格判定に影響するのは、制度としておかしい。
  • 学力試験が易しすぎる。旭丘高校などのトップ校を目指すためには、とにかく「ミスをしない」ことが最優先になる。もっと思考力を要求する問題を増やさないといかんでしょう。

 2校受験できる制度は維持してほしいが、学力試験の質を高めるには、試験は1回にせざるを得ないかもしれませんね。1回の受験で、志望校を2校まで書ける制度が落とし所ではないかな、と感じる。

 なお、入試制度については、とにかく「デマを飛ばす人」が多いので、注意していただきたいなと思う。NHK の上のニュースを見ただけで、「◯年後から公立は1校しか受けられなくなるらしいよ」などと勝手に思い込んで、それを吹聴する人が出てきたりする。「入試制度については、『ママ友情報』は絶対に信じるな」と強く言っておきたい。子供が「先生がこう言っていた」というのもあまり信用しない方がいい。必ず愛知県教育委員会の公式文書を見ないとダメです。

 うちの上の子(ヒメ)の1学年上の年に、少し制度変更があったのです。そうすると、ヒメの学年でも「うちらの年にまた制度変更があるらしい」という変な噂が流れ始めて、ママたちが浮き足立っていたことがあった。んなわけがない。入試制度なんて、1回変えたら当分は変えられませんよ。

 それを考えると、昨今の大学入試共通テストをめぐる混乱は、本当に罪深かったと思う。「入試制度を簡単にいじることは許されない」という当然の原則に対して、大きく信頼を損ねたわけだから。文部科学省はしっかり反省して、「本当に日本の教育を良くするにはどうするべきか」を真摯に検討していってほしい。あなた方にはそれができる権限も能力もあるはずでしょう。

タグ:教育 社会
Posted at 2020年01月30日 23:27:41
email.png