2011年05月03日

2011年05月03日:「ぴあのどりーむ」と「ラーニング・トゥ・プレイ」

 ヒメがピアノを習っている先生は、教則本として「ぴあのどりーむ」(田丸信明編、学研)と「ラーニング・トゥ・プレイ」(ステッカー/ホロヴィッツ/ゴードン著、中村菊子訳、全音楽譜出版社)を使っている。「ぴあのどりーむ」は永田萠さんのかわいいイラストがついていて、幼児期の入門にはいい本なのだが、程度が進んでくるとちょっとどうかなと思う。特に、ときどき和声付けに違和感を覚える。

(「ぴあのどりーむ」6巻14ページ)

 2小節目の導音抜きの属7はどうかと思うし、5〜8小節は普通は I-II1-I2-V7-I というカデンツにしませんか。

(同9ページ)

 "Long long ago" の編曲ですが、7小節目の左手、なんで3小節目と同じにしないんでしょう。7音が消滅して気持ち悪いんですけど。もしかして、右手の B との長7度を避けたのかな。でも B は刺繍音だから別に問題ないよね。

 まあ導音抜きの属7あたりはバイエルやツェルニーでも時々出てくるし、大した問題ではないとも言えるのだが、なんかもう少し丁寧に音を吟味して作ってほしいなとは思うんですよね。子供が繰り返し弾くものなんだから。

 「ラーニング・トゥ・プレイ」はその点とても注意深く作ってあると思う。こちらの方が「違和感のある」音は多いんだけど、その音を使う意図がはっきり理解できる。例えば同じ導音抜きの属7でも、「ラーニング・トゥ・プレイ」ではこういう風に出てくる。


(「ラーニング・トゥ・プレイ」ブック4、8ページ。原本はリピートを使わず書き下し)

 この曲は「バグダッドへの旅」と題されていて、左手はほぼ全曲を通じて空5度を奏する。ニ短調ではあるが右手の旋律は旋法的で、導音機能は弱い。これなら、1番カッコ・2番カッコの小節に出てくる導音抜きの属7も問題なく受け入れられる。

 子供には「ラーニング・トゥ・プレイ」の方がはるかに難しいようで、ヒメはいつも苦労している。まあでも、このレベルの曲は普通に譜読みして弾けるようになってほしいとは思っています。

タグ:音楽
Posted at 2011年05月03日 01:56:41
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